Kijikko diary

上海在住。手芸と小沢健二を愛する、私のダイアリー。

不思議の国


ぅわあっ。


今日のブログは長いです。
ヒマだからではありませんよ!


調子に乗りすぎてファンキーベイベーのお友達は10人まで増産。なぜだか本気で人形作りにハマっている。こんなにいらねーよ!!ってね。。


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そんなわけで、最近は家で人形作りにいそしんでいるため出歩くことも少ないが、今日は久しぶりに出かけた。友達と数名で、西九条にある映画館「シネ・ヌーヴォ」へ。お目当ては、「和田淳と世界のアニメーション」。新進気鋭(!)のアニメーション作家、和田淳監督の短編アニメと世界の短編アニメのアニメーション集だ。


和田さんは兵庫県出身のアニメーション作家。ざらついた質感の紙にシャーペンの繊細な線を走らせ、なんともヘンテコリンな世界を描き出す。セリフはほとんどなく(声の演出はほぼ自分らしい!)、ストーリーもよく分からない。が、その分見ているほうの想像を喚起してくれる。出てくる人やモノ、動物の動きもヘンテコリンなんだが、「ああ、こういう動き、なんか共感できる!」「こういうの、やってみたい!」と思えるようなヘンテコリンさ加減で、なんだか小気味良く、ついじーっと見入ってしまう。最近はテレビや雑誌、映画での活躍もめざましく、海外で賞をとったりと注目度大なのである!


シネ・ヌーヴォではしばらく上映しているし、神戸や京都でもまだ上映予定があるのでぜひ。


和田淳と世界のアニメーション
http://calf.jp/wadaworld/home.html


和田監督は友達の友達ってことで私の友達(!?)である。今日は初日で、舞台挨拶もあったので帰りに監督を囲んでみんなでご飯を食べにいった。みんなで話していると楽しくて時間を忘れてしまい、つい遅くなってしまった。


↑和田先生は右手前


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臨月の妊婦にはあるまじき時間になってしまい、急いで難波発の急行に飛び乗った。


それほど疲れていなかったし、妊婦バッジはめんどくさいから付けてなかったし、席を譲ってほしかったわけではない。もし席を譲ってくれる人がいたら断ろうと思っていたくらいだ。元気ですからって。でも、難波から河内長野までの30分間、席を譲ってくれる人は一人もいなかった。


むしろ偶然空いた目の前の席も、おっさんに奪われてしまった。もちろん、バッジを付けていなくても臨月なので、私の見た目はハンパなく妊婦だ。


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上海では必要以上に席を譲られたし、日本では混んでいる電車に乗る機会があまりなかったので、こんなに不親切だと実感することはなかった。日本では、なぜこんなに妊婦への風当たりがきついのだろう。家に帰って「妊娠」「電車」でググってみると、いろんな掲示板に、電車での不親切さに困っている妊婦からの投稿がたくさんあった。


妊婦バッジをつけているが、通勤時は席を譲ってもらえなくて辛い。そんな人に対して、「始発点の駅まで行って乗れば?」「仕事をやめたら?」「妊娠は病気じゃないんだから甘えるな」「妊婦バッジなんて知らない」というアンサーがズラリ。え?嘘やろ?目を疑いたくなった。


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東日本大震災があって、「こんなに悲惨な状況でも日本人は思いやりの心を持って協力し合い、略奪が起こらない。すばらしい」と日本人魂は海外メディアから評価されている。


その一方で、震災の被害があまり大きくなかった大阪では(被災の程度は関係ないかもしれないけど)目の前の妊婦すら見て見ぬふりをする。他人の状況を想像する力が欠けているのか?妊婦にも気付けないほど他人に無関心なのか?席を譲れないほど疲弊しているのか?「困っていそうな人を守る」というプライドがないのか?「妊婦だからって甘えるな!」という体育会的な人が多いのか?いずれにせよ、異常だと思った。


「かつては自分も、困っている人を見て見ぬふりをしていなかったか?」と戒めることもできたわけだが。


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地震を心配して、中国からクレイジーガールことサリーが電話をかけてきた。「危ないから上海に戻ってきて子どもを産め」というぶっとんだ提案をしてきたのだが、今回に限ってはそれほどクレイジーではないなと思えた。サリーより何より、日本がクレイジーだ。異常だ。危険だ。普段暮らしている中国より、自分の生まれ育った日本のほうがイケてる。そう思っていたけど、思いたかったけど、今日はできなかった。


うれしくて楽しくて悲しい1日だった。