実家には、ぼろぼろタオルの職人がいた。
ふわふわの物を見れば飛び乗りぴょんぴょんして、
タオルを見ればぼろぼろにせずにはいられない彼。
タオルをぼろぼろにするためなら、
ごはんもおもちゃもいらない。
その職人魂に迫る。
ぼりぼり、ぼりぼり、ぼりぼり・・・
よそ見することは許されない。
集中力が大切である。
一心不乱に噛むべし噛むべし。
ぼりぼり、ぼりぼり・・・
素人が手を出そうものなら、
飛びかからんばかりの勢い。
誰であろうと容赦はしない。
カメラではとらえられないほど
俊敏な身のこなし。達人技だ。
これでまたひとつ、
ぼろぼろタオルの名作が完成した・・・
(完)